_ 海賊モノをもっと読んでみたいなーと思っていて、おススメの本に「隆慶一郎」の名前を見たような気がしていました。隆慶一郎は、今まで(このブログでは)出てきていない先輩から教えてもらって、『吉原御免状』『一夢庵風流記』『かくれさと苦界行(続・吉原御免状)』(いずれも新潮文庫)などを読んでいて、細かい内容はあまり覚えていないけど(!)、読んだときははまって一気に読み通した記憶があったので、読んでみようと思い立ちました。
ただ、隆慶一郎は小説を書いた期間が5年だけということで、作品が少なく、検索しても海賊モノっぽい題名が見つからなかったので、今まで読んだものとは少しタイトルの雰囲気が異なる『死ぬことと見つけたり』(新潮文庫)を読み始めました。
これは、(海旅は出てきますけど、まったく海賊モノではありませんでしたが、)江戸時代の佐賀鍋島藩で書かれた「武士としてのあるべき」を示した「葉隠」の実体として「毎日、死んで新しく生きる」鍋島藩の武士を主人公とし、鍋島藩のお家騒動や、お家つぶしを狙う幕府老中との攻防なども絡めて描かれた時代小説です。
主人公の武士(杢之助)はやっぱり生きざまがカッコいいし、権力をめぐる駆け引きや人間関係のどろどろ、恋愛模様も面白く、(上巻)第1~7話、(下巻)第8~15話と、物語の中に引き込まれて止まらず読み続けたような感じでした。そして、まさに、老中との直接対決が目前に迫ったところ、そして鍋島藩の大殿様が息を引き取ろうかというところで第15話が終わりました。
_ その次のページに「結末の行方」とあり、
「隆慶一郎氏の急逝により、『死ぬことと見つけたり』は第15話をもって未完の作品となった」ことが書かれていました……(絶句…)
『海王伝』に続き、まさかまた物語の途中で突然、景色が途切れてしまうとは、、、
実感したのは、「死ぬ」ということは、そういうふうに突然終わることなんだな…と。物語であれば、どんな形であれ結論がある終わり方を期待してしまうけれど、実際の人生とは、そんなふうに突然、止まるものなのでしょう……
_ それからしばらく、武士モノを読んでいたのですが(亡くなった葉室麟とか)、校正の仕事が増えて活字疲れ?だったりして、最近はあまり小説を読まなくなっていました。ですがつい最近、本棚を整理して古い単行本を処分したのを機に、また少し読み出したところです。
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